ナオミ・オルダーマン著「パワー」は、男女逆転物語として日本経済新聞で紹介されていた。

そんなことは全く知らなかったし、ディストピア小説って普段読まないけど、図書館の新刊コーナーで偶然見つけたので借りてみた。

海外小説自体、あんまり読まないからなー、
最初の方はかなり読みにくいなって思った。
要するに、慣れてないだけ。

脳内妄想ではかなりグロい場面が頻繁に出てきて
映像を見なくて良かったと思っていたら
Amazonプライム・ビデオでドラマ化するそうな。

ドラマは見ないぞ!
絶対見ないぞ!
実写は怖すぎる・・・

誰が主役か分からないし
登場人物がみんな揃いも揃ってサイコパスかよ・・・
って感じ。

「手から電撃を放つ能力」が女子だけにあるって設定だけど
この電撃の利用方法がエグイ。

ほぼ男性への復讐心に使われる。

ラムちゃんとスパイダーマンも真っ青だ。
子どもが「手からビームが出るごっこ」を楽しむ現実からは想像も出来ない。

女性が電撃を手に入れることによって
男性より圧倒的に有利になり
女性が男性を支配するようになる。

これはSFの世界なんでしょうか?

ここから先はネタバレです!

「女性が男性に復讐する」のがテーマみたいな書評が多かったけど
そう思いつつ読んでいたら、最後に「大どんでん返し」がございましたよ。

アリーが養父に暴行されていたのは、実は養母の仕業だったってこと。
養母ミセス・モンゴメリ=テイラーが手から電撃を出して
夫であるミスター・モンゴメリ=テイラーを操り
アリーに暴行させていた。
この衝撃の事実は、ロクシーもお見通しで
ロクシーがアリーに教えたようなものだ。

つまり、女性の敵は女性ってこと?
完全にホラーの世界です。

できるものならね。みんなに手を差しのべて、いまなら新しい生き方ができるって伝えたい。
女どうし助けあえばいいのよ。
男たちには好きなようにやらせればいいけど、
あたしたちは古い秩序にしがみついている必要はないんだ。
新しい道を切り開くんだよ。

ってアリーのセリフがありましたが、
この思想は根底から覆ってしまいました。

一方、実の父親に母親を殺され、あろうことか
スケインまで奪われたロクシー。

史上最強の女性だったロクシーがパワーを奪われた結果
恋愛に走ってしまうし、結局父親とも和解しました。

ロクシーとその父親バーニイ・モンクとの愛憎劇は裏切りの連続でした。
バーニイはロクシーを愛していたにもかかわらず裏切りまくります。
でも、最終的には父親バーニイは息子を死に追いやって
一人娘のロクシーと人並みの幸せを感じて生きていくみたい。

ここらへんが、アニーの「声」が言った
「ものごとはそんなに単純じゃないのよ」
ってことなのかな?

アリーが電撃の力を攻撃に使うんじゃなくて治療に使って
宗教家として生きていく姿も完全に善とは言い切れない。

アリーの中途半端な治療のせいでジョスリンは無謀な戦いに負けたし
その結果マーゴットは強硬路線を突っ走り、戦争に突入する。

アリーは電撃の力でタチアナを操り、自害に見せかけ殺害し国をのっとる。
だけど、養母ミセス・モンゴメリ=テイラーに
「あなたが宗教家になれたのは私のおかげよ」
みたいなことを言われて精神が崩壊してしまう。

電撃があっても男性に殺されかけた女性もいた。
いくら電撃攻撃ができても無限じゃないし無敵じゃないし
女性が集団で男性を襲えば女性が勝つけど
男性が集団で女性を襲えば、電撃能力のある女性でも負ける。

現実世界の戦争も男VS女じゃないしね。
国VS国で戦争している。

「男性が女性を支配している」って思想も
女性を所有物をみなしている国と日本とではちょっと違うのでは?

トゥンデはニーナに裏切られたと嘆いていたけど
もともと信頼関係がなかったのでは?

ロクシーはスケインを失っても女性からの支持は失わなかった。
電撃だけで人を支配しているわけではないと思った。
強いだけで人を支配できるのなら、ダレルが殺されることはなかった。

最後はロクシだけハッピーエンド?
いやー、ロクシーだけが「めでたしめでたし」とは言い難いね。