12月、PTA次期役員捕獲作戦が始まった。
「クラス懇談会でも常にアンテナを立てておけ」
役員経験が豊富な現役執行部役員からの命令だ。

1年を通じて、次期役員にふさわしい人物をチェックしている。

真面目で仕事はきちっとする人。
文句を言わない人。
コミュニケーション能力が高い人。
他人の言うことを素直に聞く人。
責任感のある人。
気が強くない人。
子沢山。

パソコンが出来る人。
日中動ける人。
専業主婦。
人前で話せる人。
ちゃんとした服装の人。

どんな条件だ?

本部役員ともなると学校の代表として外部へ出る機会も多い。
「学校代表として恥ずかしくない人」
という条件もあった。

クラスの懇談会でターゲットを決める。
自分の後釜は自分で見つけないと抜けられない。
そう、自分が執行部を辞めるためには、何としてでも後継者が必要だ。

この際、仕事が出来るかなんてことはどうでもいい。
引き受けてくれさえすればいい。
誰でもいい。

無記名の推薦用紙にターゲットの名前を書く。
推薦者は無記名でよい。

推薦された方から見れば不条理なこのルールが引き継がれていく。

みんなやりたくないけどやっているのだ。
仕方なくやっているのだ。
こんなPTAなら辞めてしまえ!
と何度思ったことだろう。

推薦といっても投票で決まるわけではない。
現執行部(本部役員)の意向に沿わない人は却下される。
優秀すぎる人物も敬遠されるのだ。

現執行部(本部役員)が上から目線攻撃可能な範囲で
仕事を真面目にする人が求められる。

そんな基準、ワケ分からん。

正直者が損をする。

「子どもたちのため」
という大義名分、免罪符。

他人にイヤなことを押し付けるという罪悪感を忘れるため
自分は人に役立つことをやっていると言い聞かせる。

自分の家族と自分の子供を犠牲にしてまで?

本部役員の勧誘なんて迷惑だ。
人から嫌われる仕事だ。
そんな仕事を黙って押し付けられてなるものか!

昔は投票だったらしい。
お姉ちゃんの頃はそうだったと
その時代を知るママ友は言った。

「あの人に入れよう」
裏で人を操作する人は必ずいる。
自分以外の誰かであれば、誰でもいい。

投票された人は
「何で私が!?」
と一年間思い続けたことだろう。
いや、1年間ではすまない。

一生恨んでやる、呪ってやるくらいの怒りは当然のことだ。
できることなら報復したい。
でも、誰に仕返ししたらいいのか分からない。

無記名投票なんてえげつないやり方だ。

もともと友人でも何でもない。
PTAで親睦を深めるなんて妄想だ。
人間関係は悪化するばかりで、もともと人が嫌いで
仕事もしたくないのに、ボランティアだとか何とかいって
奴隷のように人をこき使う。

労働力の搾取だけではなく
時間の搾取、お金の搾取も当然のように行われるPTA。

子どものためなのか?本当に?

闇の組織に操られているんだよ
なんて言ったら笑われるけど、そこに真実がある。
PTA会費の謎。

謎の集会が多すぎる。
確定申告の時期なのに、こんなことしてられない。
通信費も出ないのに、勧誘の電話をかけろだと!?
個人の携帯電話でかけるんだったら電話代を払ってくださいな。

今じゃLINEやってる人がほとんどなんだから
打ち合わせって、わざわざ集まる必要ないんじゃないの?
ムダ話するくらいなら電話でどうぞ。

PTA役員になったら家事もおろそかになってきた。
この疲れ具合はハンパじゃない。
役員選考委員のメンバーの中からついに心療内科へ通う人が出てきた。

役員選考委員は、現役執行部から命令され
新役員候補へ電話攻撃をかける部隊だ。

中には、詐欺集団出身かと思われるほど巧みな話術で話込むツワモノもいた。
しかし、ほとんどの人はこんな迷惑電話なんかかけたくなかった。

役員選考委員なんて報われない仕事だ。
現本部役員と電話をかける相手との板ばさみ状態が続く。

どちらからも罵倒を浴びせられること多数。
精神が病んでいく方が普通だろう。

こんなところでくたばってしまうのか?
1年間真面目に役員の仕事をした結果がこれだよ。
まあいえば試用期間だったのに働きすぎたわけだ。

「こいつは使える!」
と現執行部に目をつけられてしまったのだ。

使えるも何も、他の人が使えないだけといったところだろう。